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8/8 2000 奥日光の夏 vol.2



 8月5日、また奥日光に行きました。今回は紀行文風に書いてみます。
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 今日も朝から快晴です。ここのところ毎日、日光市内は朝雲一つない快晴、そしてお昼頃に雷が鳴り出し、午後は雨というパターンが続いています。でも奥日光は別、きっと一日中晴れているに違いないと期待し、真夏の奥日光に行きました。
ホザキシモツケ  今日は、赤沼から湯川沿いに北上し、泉門池から小田代原北側をとおり、西ノ湖にいき、千手ヶ浜まで歩く予定。帰りは低公害バスで赤沼まで戻る行程です。デイパックにはお弁当のほか、前日から凍らせておいた缶ビール、そして最も重い荷物が植物図鑑と蝶とトンボのハンディ図鑑です。ゆっくりと動植物を観察しながら歩くつもりです。

 赤沼は快晴。朝日が射し込んだとたん、満開のホザキシモツケの蜜をナメにきたハナアブの羽音がにぎやかです。駐車場に車を停め、午前7時に千手ヶ浜向けて出発です。今日は鳥に詳しい友人や自然観察を目的にした友人たちも一緒です。赤沼から戦場ヶ原の東側を通る湯川歩道を歩くのは何年ぶりでしょうか。早朝だというのに強い日差しを浴びながら歩道を歩き始めました。

湯川  赤沼にも咲いていたホザキシモツケは湯川沿いの至る所に大きな群落をつくり、満開の花に差し込む夏の日差しは、まさに「盛夏」という言葉がぴったりの情景を醸し出しています。また、振り返ると男体山を背景に湿原の緑が夏の陽に輝いています。  湯川はゆったりと流れ、その流れの中にフライフィッシングをする若者がぽつり、ぽつりと点在します。とても絵になっていたのでつい写真を撮りたくなります。ちょうど釣り上げた方がいて、聞いてみると「イワナ」とのこと。25pくらいの大きさでした。

戦場ヶ原から男体山  歩道をいくと右側の戦場ヶ原にノビタキがいる、と友人。どうも鳥にはうとくて発見が遅れますが、友人はめざとく見つけみんなで観察します。幼鳥らしく、まだ成鳥の美しいコントラストは見られません。その後成鳥の美しいノビタキも見ることができました。
 鳥は他にウグイス、アオジ、ホオジロ、ノスリなど。

湯川のニホンジカ  次はシカ。我々の30mほど向こうの湯川に入り、水の中に首を入れてなにやらもぞもぞ。どうも水中の何かを食べているようです。首をすっぽりと川の中に入れ、しばらくすると水中から顔を出しモグモグしています。普段見慣れないものを見たのでとても不思議な光景でした。夜行性のシ コオニユリ カが白昼堂々、あの距離で見られるというのは、専門家がいう「夜行性のシカが昼間活動することのストレス以上に食圧が高い」ということになるのでしょうか。シカは他にも何頭か戦場ヶ原にいました。小田代原の二の舞になる前に手を打つ必要がありそうです。

 花は満開のホザキシモツケのほか、コオニユリ、イブキトラノオ、ハクサンフウロトモエソウノアザミなどが見られます。

トモエソウ  蝶は、フタスジチョウジャノメチョウヒメシジミ、それとノアザミに群れるミドリヒョウモン、ギンボシヒョウモン、ウラギンヒョウモンが見られました。

 途中、双眼鏡で鳥を見たり、図鑑で花を調べたりで一向に前に進みません。この調子だと千手に到着するのは夜の7時頃になる見込み。
 そして9時頃、湯川を横断する「青木橋」のベンチで休憩、赤沼から2時間もかかったことになります。

ヒメシジミ  青木橋のすぐ脇にある湿原をボーッと見ていると、あ、いたいた、ゼフィルスの影が。アイノミドリシジミです。よく見るとあちこちで雄が金緑色の羽を広げてなわばりを宣言をしています。小湿原の真ん中の草に止まったり、木の上の方に止まったりで、蝶観察用にと持ってきたマユミちゃんに借りた100円の捕虫網では捕まえられません。
 さらに先に進むと今度はアイノミドリシジミが手元の木にとまりました。100円捕虫網で捕まえ、みんなでしみじみとその絢爛豪華な美しさを眺め、放しました。

小田代原の花々 【去年の光徳のアイノミドリシジミ】

 歩道は戦場ヶ原を離れ、小田代への森の道になります。
 この歩道はいつも真冬にクロカンで歩くコースです。冬の見通しの良い景色と対照的に、このミズナラの森は夏の陽を精一杯あびようと葉をたくさん広げ歩道は薄暗いくらいです。
 まもなく小田代原を囲むシカ防止柵が見えてきました。防止柵の回転ドアを入ると小田代原が広がります。防止柵の効果を目で確かめたかったので、柵の内側と外側と注意して見比べていましたが、やはり効果は絶大でした。
 外側では森の下のササが食べ尽くされ、部分的には土が露出しているところがあったり、シカが食べないキク科の草が一面覆い尽くしていたりしています。しかし、内側ではミヤコザサが元気に茂り、その隙間にいろいろな花が咲いています。
ミドリヒョウモン  北西部では草原が復活し、ノアザミをはじめ、ツリガネニンジン、ワレモコウ、イブキトラノオなどの花々がお花畑のように咲き乱れ、ノアザミにはたくさんのミドリヒョウモンが蜜を吸いにきていました。幼虫がクガイソウを食べるコヒョウモンモドキという草原性の蝶が絶滅したのはとても残念ですが、同じ草原性の蝶でヒョウモンチョウが飛んでいるのを久しぶりに見ることができました。

ノアザミ  その後、すっかり雲一面となった西ノ湖の空の下で昼食をとり、西ノ湖と千手ガ浜を結ぶ「千手の森歩道」で千手ガ浜へ。そこから赤沼にもどる午後2時のバスに乗り込むと、大粒の雨が降り出しました。
 ゆっくりと動植物を観察できたいい一日となりました。