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9/11 1999 千手・西ノ湖



男体山
このところ、毎週のように奥日光に通っています。
今日(9月11日)は、千手ケ原から西ノ湖にかけて歩きました。

天候は曇り。朝、立木観音からの男体山(写真左)は、山頂が見えるもののけっこう湿度が高く<青いヴェールがかかっています。
男体山より遠くに見える奥白根山は雲の中です。手前の高山が妙に高い山に見えています。
夏と秋のちょうど境目、花はほとんど終わり、紅葉もこれからという時期なので、混雑もせずに静かな森を歩くことができました。

周辺地図

千手ケ浜〜西ノ湖

千手ヶ浜(写真左下)は薄日が射していました。ハルニレやミズナラの森はまだまだ青々しく、あと一ヶ月後の一面の赤や黄に染まる景色を想像することすらできません。 キャンプ場の管理事務所から南岸方面へ歩くとすぐに外山沢川の橋を渡ります。外山沢川には秋になると中禅寺湖で回遊していたマス類が産卵のため遡上してきますが、この時期、まだ早いようです。
千手ヶ浜
橋を渡ってすぐ、右手に「千手の森歩道」の入口ががあります。この歩道は2年ほど前に解放された西ノ湖への新たなルートで、広葉樹林の中のとても静かなコースです。
千手〜西ノ湖間を歩かれる方、広葉樹の森を歩く、このコースは是非おすすめです。
拡大地図(81KB)

この歩道に入り、ハルニレやミズナラのほか、オオイタヤメイゲツ、ハリギリなどの森をいきます。林床にはマルバダケブキやイケマ、そしてシカの糞がやたら目立ちます。主にシカの食害により、かつて一面に生えていたササはほぼ全滅。生えているのはシカの食べない植物ばかりです。
マルバダケブキにはミドリヒョウモンが蜜を吸いに集まり、森の薄暗い中ではアサギマダラがフワフワと幻想的に飛んでいます。アサギマダラはこれから九州や沖縄などの暖かい地方へと旅立っていくはずです。
アキアカネはまだ奥日光にとどまっています。彼らも平野部へと下りて産卵するハズなのですが。

シカ防護柵
しばらく静かな広葉樹の森を歩くと、やがてカラマツ林となり、まもなく西ノ湖へ行くための柳沢川の吊り橋が見えてきます。

西ノ湖

吊り橋を渡り、西ノ湖まではすぐです。
ここもシカの被害が激しく、林床のササは全滅、近くに山ほどあった帰化植物「オオハンゴンソウ」もシカに食べ尽くされ、今では全く見られません。
ちょうど、営林署がシカの食害から樹木を守るため、フェンス張りをしていました。(写真右)ハイキングコース以外の西ノ湖周辺の森をそっくり高さ2mくらいのフェンスで囲おうというものです。
ご覧のとおり、カラマツの杭を埋め、これからフェンスを張ることと思いますが、かなり美観を損ねそうです。でも、シカのために森が天然更新を妨げられている現実を目の当たりにすると、景観・美観より重要で必要なことなのかもしれません。

西ノ湖(写真左)はたくさんの水をたたえていました。きっと、切込湖刈込湖のように、夏の大雨の影響でちょっと前までは水位が高かったと想像します。
日光ではここ西ノ湖だけで見られるヤチダモの姿がとてもきれいでした。
西ノ湖
また、初夏の頃、奥日光一帯のズミの花がとても見事に咲きましたが、そのズミは黄色くなりかけた実をたわわにつけ、冬鳥に食べられるのを待っているようです。
また、風で落とされたのか、ミズナラの緑色をした大きなドングリが落ちていました。ヤマブドウも緑色の実をたくさん付けています

森はしっかりと秋の準備を調えています。秋はもうすぐです。