3/13 1999 メープルシロップ、できました



カナダ人が教えてくれた

十数年前、日光に来たカナダ人観光客に片言の英語で本場カナダのメープルシロップの作り方を聞いたところ、彼女(美人だったような気がする)は「雪がまだ残る春の早い時期に樹液をとって、それを30倍に煮詰めるとおいしいシロップができる」とやさしい英語で親切に教えてくれました。

その話を手がかりに、日光ではマンサクの花が咲き始める2月下旬頃がベストかなと想像して、裏山のカエデから樹液をとり、10年ほど前にメープルシロップをつくりました。そのメープルシロップがとてもおいしかったので、今年の春は10年ぶりに再挑戦です。


日光のメープルシロップはどんなカエデから?
カエデといってもあまり小さい木は樹液の量も少ないし、木に与えるダメージも大きそうなので、大木になるイタヤカエデとカジカエデを探しました。
左の写真はカジカエデです。
空き缶の上にV字型の切れ込みが見えます。その上に黒っぽくなったV字型がありますが、これは10年前に樹液をとった跡です。

樹液の取り方
沢沿いのガレたところにある4本のイタヤカエデと1本のカジカエデをみつけ、右の写真のように空き缶を針金で幹にしばり、幹の1/3周ほどの長さを、V字型にカッターで3ミリほどの溝を彫りました。
そして、その溝の一番下にアルミのV字型の金具を幹にちょっと打ち込み、空き缶に樹液が入りやすくします。

※現在はこのようなカットせずに簡単に樹液が採れるスパイルという道具があります。(2016.2追記)
【スパイル販売サイト】日光自然工房

そして、カエデの木の神様と山の神様に感謝をして、作業は終了です。


今年の収穫
さて、カッターで切れ込みを入れると、左の写真のように樹液がポタポタと落ちてきます。時間帯にもよりますが、日中はだいたい1秒に1滴のペースでしょうか。

今年は5本の木に空き缶を取り付け、2月28日から3月4日までの5日間で、下の表のように約9リットルの樹液がとれました。
樹液はそのままなめるとかすかなさわやかな甘さが感じられます。


採取日 収穫量(g) コメント
2月28日 1,486 採取開始
樹皮に切れ込みを入れた瞬間から樹液がしたたり落ちてきた
3月1日 5,446 天気も良く、ほぼ1秒に1滴のペースでぽたぽたと落ちてきた
3月2日 1,288 天気がいいにもかかわらず落ちる量が減ってきた
3月3日 866
3月4日
3月5日 0 好天で気温も高いが、まったくとれない。
3月6日 0
3月7日 0
合計 9,086  
いよいよメープルシロップに
収穫してきた樹液は、持ち帰り、まずコーヒードリップのフィルターなどで濾過します。けっこうゴミや樹液に集まってきた小さな虫が入っているので濾過してきれいにします。そして、これから煮詰めて何倍になったかを確認するために樹液の重さを計ります。

そしてあとは鍋のふたをとって煮詰めるだけです。
30倍に煮詰めるということは9リットル=9000cc→300ccということです。9リットルも採れてもシロップにするとわずか300ccになってしまいます。
くれぐれも煮詰めすぎないように。最後はあっという間に水分が蒸発するので気を付けなければなりません。

メープルシロップ完成
煮詰めるだけで、メープルシロップは完成です。
今年は300gだけでしたが、そのおいしさは苦労を上回るものがあります。できあがったメープルシロップは単糖類独特なすっきりとしたさわやかな甘さをもち、メープルシロップ独特な香りといい、市販のカナダ産のメープルシロップを上回るおいしさのような気がします。

また数年たったら作ります。