10/24 1998 知床の秋


北海道の知床ウトロからの番外編です。

10月23日 ウトロ 快晴
今年は、日光の秋も遅れ気味ですが、ここ知床でも秋の訪れが遅れていて緑色の葉をつけた木々がまだあります。

ミズナラやイタヤカエデやカツラの大木が豊かな森を作っているオホーツク海を見下ろせる高台の森では、クマゲラやシマリスが棲み、ハウチワカエデ(日光のとは微妙にちがう)が黄葉の真っ最中でした。
そして、日光ではサルに先に食べられてしまうサルナシヤマブドウの実がたわわに実り、食材にはことかかないまさに実りの秋です。
天気も良く知床連山がくっきり見えます。例年ならば10月上旬には雪で白くなる山々も今年はまだ緑色をしています。
オホーツク海に流れる岩尾別川の河口近くにはサケの孵化場があり、ものすごい数のサケが海から遡上しています。ヒグマこそ見られませんでしたが、海岸に打ち上げられたサケの死骸にウミネコが群がっていました。



10月24日 硫黄山 快晴
今日も快晴です。
川がそのまま温泉になっている「カムイワッカ湯の滝」入り口のそばから、知床連山のひとつ、硫黄山に向かって登山しました。

「ヒグマの通り道」と友人のいう登山道を登ると、ミズナラ林が終わる標高500mあたりから高山性植生になります。眼下には真っ青なオホーツク海、反対側は硫黄山。そしてカムイワッカ湯の滝に遊びに来ている人々が遠くに見えます。

あたりはハイマツの下にガンコウラン、シラタマノキ、コケモモが生える火山性の砂礫地です。
同行した友人から、日本では北海道の高山にしか生息しないカラフトルリシジミの生息地と教えられました。夏にはたくさんのカラフトルリシジミが飛ぶそうです。

下山後、ウトロへの道路わきにはエゾジカが多く見られます。日光のシカと同じく繁殖期なので♂が♀を求めて牛のような声で「さえずり」ます。「ラッティングコール」と言うのだそうです。 やはり、知床でもシカによる樹木への食害が問題になっているそうで、こちらではハルニレ、イチイなどの樹皮が被害にあっています。たしかにシカの数は尋常ではなく、至る所で見られます。