6/21 1998 アキアカネの来訪と、森の蝶ゼフィルスの話


今年もアキアカネが日光にやってきました。昨年は6月26日に一斉にやってきましたが、今年は今日です。集団じゃなくて、ポツリ・ポツリ。ススキの枯れ穂にとまっています。
これから天気の良い日の朝に、南の空から大群でやってくることでしょう。
彼らはKokekokko家のまわりで休息をとりながら、山を登り、夏休みの頃には奥日光で避暑を決め込みます。そして秋にまたこの辺りに帰ってくる頃はシッポを真っ赤にした「赤トンボ」になってきます。


この時期になり、ゼフィルスという、それはそれは美しく愛おしいシジミチョウの一群の何種類かがKokekokko家の周りを飛んでいます。今日は曇りだったので、アカシジミとウラクロシジミが梢をヒラヒラ・キラキラと舞っています。

Kokekokkoはその昔、このゼフィルスの一群のチョウの採集に狂っていた時期がありました。
このシーズンになると学校の授業もそこそこに毎日夕方自転車で虫取りです。どうしても行かねばならない「その日」というものはあるもので、そういう日は、「今日は気分が悪い」とわざとらしい顔をしながら、担任に一応断ると、担任も苦笑いしながら「ウ・・・・そうか。ま、気をつけてな」といった具合で、実に楽しく充実した時代でした。そして、そのまま駅で着替えてゼフィルスの森めざして、電車でGOでした。
以前そのゼフィルスのことを書いた文章を下に引用します。

■森の蝶ゼフィルス
 ミズナラなどの落葉広葉樹林内やその周辺で見られる蝶のひとつに、シジミチョウの仲間のゼフィルスと呼ばれている一群の種類がいる。その語源はギリシャ神話の西風の神ゼフィロスに由来するが、羽の表面が緑、銀、金、青、橙色に美しく輝くさまざまな種類があり、その美しさや種による形態的差異の多様さなどにより蝶に関心がある人の間ではゼフィルス愛好者が多い。奥日光には12種が生息しており、そのほとんどがミズナラやブナなどの葉を幼虫が食べ、森で生活していることから「森の蝶」と形容される。
 さて、このゼフィルスウォッチングには早起きをした方が良い。7月下旬〜8月上旬頃、光徳周辺のミズナラ林の日溜まりや沢沿いの森がとぎれた場所などで、早朝、太陽の光が差し込むとすぐに、金緑色に光る小さな蝶がチラチラと飛びだす。ゼフィルスの一種アイノミドリシジミだ。雄は羽の表が金属光沢を持つ緑色で、毎日決まった時間になると、日の当たる見通しの良い枝の先などにキラキラ輝く羽をおもいきり広げて自分だけの空間を専有し縄張りを主張する。そしてハチでも他の蝶でも、人が投げた石でも、大型のアゲハチョウでも、自分の縄張りに入った者に対してスクランブル発進が行われ、執拗に追いかけ回し、侵入者が去るとまた同じ場所に戻って再び羽を広げる。このような舞台が森の日溜まりのあちらこちらで繰り広げられ、目に入ってくる華やかな舞台とは対照的に静寂の中にアイノミドリシジミの羽音だけがかすかに響く。華やかな舞踏会を無声映画で見ているような感覚である。
 午前8時頃になるとジョウザンミドリシジミという別の俳優も加わり、静寂な森の朝はさらに活気が満ちてくるが、アイノミドリシジミは午前9時頃にはその日の出番を終える。ところが午前10時頃になるとメスアカミドリシジミ、午後になるとエゾミドリシジミと、時間帯ごとに出演する役者は決まっているのだ。少しずつ輝きの違う美しさを競うミドリシジミたちの森の舞台は、日没頃まで延々と続く。