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3/21 2002  モンキチョウの春



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モンキチョウ♂  全国的な暖冬は、ここ日光にも例年になく早い春をプレゼントしてくれました。
 その早い春に誘われ、マンサクやダンコウバイ、キブシ、ヤマネコヤナギなどの春の花が例年より2週間ほど早く咲き、成虫で越冬してきたタテハチョウ類やテングチョウが暖かい陽差しに誘われて春を楽しんでいます。

 そんな春を感じさせる生き物の中に、この春初めて成虫になったモンキチョウが早くも見られるようになりました。
羽の縁や手足がピンク  モンキチョウは幼虫で越冬するので、この春幼虫が目覚め蛹になり成虫になったということになります。日光ではモンキチョウは例年ならば4月になってから見られますが、今年のこの暖かさはモンキチョウをも早く目覚めさせたようです。
 今日、市内で撮影したモンキチョウの春の装いをご紹介します。

 春一番に羽化(蛹から成虫になること)したモンキチョウは夏の高原で見られるようなパッとしたレモンイエローの装いではなく、くすんだ黄色の翅にピンクの縁取り、そしてピンクの手足を持ち、まるで高山蝶(高山帯に生息する蝶)のような風格を備えています(写真右)。この特徴は秋の最後の時期にも見られ、早春や晩秋という厳しい周辺環境がその風格を創造するかのようです。
陽差しに直角に羽を休める  知床で見たカラフトルリシジミや尾瀬の至仏山のベニヒカゲ、浅間山のミヤマモンキチョウなど、厳しい自然環境で生きる蝶共通の形態なのかもしれません。

陽差しに直角に羽を休める  暖かいとはいえ、まだ朝晩は氷点下近くまで下がる時期です。陽差しはそれほど強くありません。
 弱い陽差しを精一杯受け止め、少しでも体温を上げようとしているのか、この時期に羽化した蝶の多くは静止するときに羽を太陽が最も効率良くあたるような止まり方をします。写真のように陽差しの方向に対し直角に羽を傾けて止まります。
 この習性は、やはり高山蝶にも共通のもので、生き物の環境適応力には驚くばかりです。

 この世代のモンキチョウはこれから次の世代を担うために産卵し、幼虫になり蛹になり、また6月頃第2化の成虫が生まれます。その頃にはすっかり化粧をおとした夏らしいモンキチョウがみられることでしょう。