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2001
日光市内は晩春から初夏へ −稲荷川のカジカガエル−
日光市内ではサクラがほとんど散り、ようやく新緑の季節となりました。
奥日光の中禅寺湖畔のオオヤマザクラはようやく咲き始めましたが、今回は日光市内の春から夏への自然の移り変わりをご紹介します。
鳥の声とカエルの声はリアルオーディオのファイルになっています。写真をクリックすると拡大されます。
晩春の森は初夏の森へ
日光市内が初夏へと変わる頃だけの色、コナラの緑銀色の新芽が風にゆられながら、光り輝いています。
そんなコナラの森には南から渡ってきたオオルリやキビタキ、イカルがさえずり、暗いスギの森にはクロツグミが、それぞれの美しい声で春の喜びを体いっぱいで表現しています。高い木の梢にはホオジロがさえずります。
またウグイスの仲間のヤブサメの「シシシシシシシー」という鳴き声やセンダイムシクイが森に音のアクセントをつけます。
3月下旬にようやく鳴き始めたウグイスも、ようやくウグイスらしい鳴き声ができるようになったようです。夜の森では、フクロウが静かに鳴き、ジュウイチの鳴き声は闇夜をぐるぐると回ります。
森では、コナラの緑銀色の新芽のほか、イヌブナの瑞々しい緑が目に鮮やかです。昨年の秋鮮やかに黄葉したオオモミジは赤ちゃんの手のようなかわいらしい新芽を開こうとしています。
森のまわりでは、トウゴクミツバツツジの鮮やかな深いピンク色、クサボケの朱色、ミツバツチグリの黄色、ニオイタチツボスミレの紫色など、さまざまな春の色が新緑に映えひときわ鮮やかです。また、山菜のタラノキはちょうど食べ頃、ゼンマイも綿毛を開こうとしています。
森の中に入るとシロバナエンレイソウやツクバネソウの花がひっそりと咲き、フデリンドウのパッと目を開いたような瑠璃色が森にアクセントをつくります。
稲荷川のカジカガエル
女峰山を源とし、雲竜渓谷の水を集める稲荷川からは、カジカガエルの声が聞こえてきます。この時期、大きな川の水が流れる音の背後から鈴の音のような小鳥のような美しい鳴き声が聞こえてきたらカジカガエルです。今年は、こけこっこの長年の目標だったカジカガエルの声をようやく録音することができました。
カジカガエルの鳴き声
やわらかい日差しの5月6日、カジカガエルの声を聞きに稲荷川にいきました。川に近づくと、あの涼しく美しい声が聞こえてきます。
河原に下り、その声の方向に向かいます。カジカガエルはとても敏感で、近づくにつれその美しい鳴き声は止んでしまいます。おおよその当たりをつけ、河原の石に座り込み鳴き始めるのを待ちます。
待つこと約10分、30mほど先からまた聞こえてきました。今度はその30m先の美しい声に忍び足でそっと向かいます。当然その足音でまた鳴きやんでしまいます。きっとこの辺りだろう、という場所にマイクと録音機をセットして3mほど離れた石に再度座りました。
とても長い時間が経過した気がします。そして約20分後、小さな声で「ケ・ケ・ケ・ケ」と聞こえてきました。ようやく鳴き始めたようです。それから間もなく、いきなり美しい声が聞こえてきました。マイクから約2mほどの距離でしょうか。その後何分かおきにその美しい声を聞いていると、すぐ近くでまた別なカジカガエルが鳴き始めます。じっとしているとけっこうたくさん生息していることがわかります。ためしに録音した声をその場で再生してみると録音した声につられて、また鳴き始めます。
録音も一段落し、鳴き声の主を捜そうと流れる川とその周りの石をじっくりとなめ回しましたが、その主はとうとうみつかりませんでした。右の写真は2年ほど前、同じ場所でみつけたカジカガエルです。今度は鳴いている姿を写真に納めてみたいものです。
着実に日光市内の春は夏へとかわりつつあります。
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