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10/1 2000 邯鄲(カンタン)の夢



カンタン  8月下旬頃から鳴き始めた日光のカンタンは、10月になってもまだその美しい鳴き声を聞かせてくれます。
 なぜ「カンタン」と呼ばれるのか不思議でしたが、兵庫県立人と自然の博物館のHPにその命名の由来を見つけました。以下がそれです。

 昔から鳴き声が美しいので、「鳴く虫の女王」と言われていますが、鳴くのはもちろん♀(メス)でなく♂(オス)です(他の鳴く虫も同じ)。
 その幽玄な響きが中国の「邯鄲の夢」(かんたんのゆめ=煮炊きをしているわずかな時間に一生の栄華をきわめる夢をみる)という故事をイメージするところから、カンタンギスになり、カンタンになったというのが定説です(ギスというのはキリギリス類につける名前ですが、カンタンはコオロギ類です)。

 これまで、鳴き声は聞こえるものの、夜が中心なのでその姿をみることはできませんでしたが、今日の日中、鳴き声が聞こえたのでそれをたよりに探したら、とうとうそのお姿を見せてくれました。クズの葉の裏で「ルルルルルルルルル」という寂しく静かに羽を震わせていました。

 思ったより小さく、2pくらいでしょうか。羽は透明で、細身なボディが透けてみえます。この繊細な虫から、あの美しい鳴き声が出るのが不思議なくらいです。
 今年は秋の風情のデストロイヤー、アオマツムシの声は聞こえてきません。カンタンの夢だけが静かに響きます。

  カンタンの鳴き声 Real Audio 3.0 / 16sec.
   (78KB / Frequency response 8kHz / stereo)
   (154KB / Frequency response 16kHz / stereo)