8/10夜 2000 すきま風に吹き飛ばされたリリィちゃん

 ある日わたしは図書館で種村有菜という人が書いた『すきま風に吹き飛ばされたリリィちゃん』という一冊の本を見つけた。本を開いて読んでみようとしたら本の中に吸い込まれてしまった・・・。

 そこはリリィちゃんの家だった。
 リリィちゃんはお母さん、お父さん、お姉ちゃん、お兄ちゃんと暮らしていた。リリィちゃんの家はあまりお金持ちではなく、隣に住んでいるマネーさんの土地を借りていた。マネーさんは大金持ちでとてもケチだった。
 ある日リリィちゃん一家はマネーさんにこう言われた。  「リリィを渡してくれるなら土地を全部やっても良いぞ。」  リリィちゃんは「わかったわ、いいわよ」と言っていた。  お父さんとお母さんはものすごく反対していたけれど、リリィちゃんは「お父さん、お母さん大丈夫よ!絶対戻ってくるから」と言って平気な顔をしていた。お母さんとお父さんは「絶対戻って来いよ・・・」と言ってマネーさんにリリィちゃんを渡した。

 リリィちゃんはマネーの家に連れて行かれた。
 そこには庭に大きな地球儀の形をした遊び道具があった。リリィちゃんはその中に乗せられた。マネーさんは何を思ったのかその地球儀ぐるぐる回し始めた。
 リリィちゃんは心の中で「絶対戻るんだから・・」と念じながらと地球儀から飛び降りた。
 マネーさんは「こら!待てリリィ」と言って追いかけたがリリィちゃんは素早く森の茂みに逃げ込んで息を潜めていた。
 マネーさんは「ちくしょう!」と口惜しそうな声を上げてあきらめて家へ帰っていった。
 リリィちゃんはマネーさんがいなくなると茂みから這い出てきてマネーさんの庭の端にある崖に向かって歩いていった。リリィちゃんは「えぃ!」と言って崖下に向かって飛び込んだ。

 下はごうごうと水が流れていてリリィちゃんはポチャンと水に着水した。リリィちゃんはそのまま下流に向かって流されていった。
 そこにはリリィちゃんがまったく見たことがないスコットランドと言う国があった。その川はそこで行き止まりになっていた。
 リリィちゃんは川からあがり街の方に歩いていった。リリィちゃんはそこで日本人の女の子とであった。名前はゆか。
 ゆかはリリィちゃんに親切に声を掛けた。
 「わたしの家に電話があるからそれでおうちに電話したら」
 リリィちゃんは「わかった、ありがとう」とお礼を言って2人でゆかの家に向かって歩いていった。
 ゆかは電話の場所を教えると「わたし、ちょっと買い物に行ってくるから」と言い残して家を出ていった。
 リリィちゃんは自分家の電話番号を回してみた。
 「あ!お母さんわたしリリィよ」
 お母さんは「え!今どこにいるの?」と聞き返した。
 「今、スコットランドよ。今からそっちにワープするわ」とリリィちゃんは言った。そんなことリリィに出来たかしら・・・とお母さんは思ったけれど「わかったわ、まっているわ」と言って電話を切った。

 リリィちゃんはぐっとこぶしに力を入た。そして床を叩き割った。床に開いた穴からはなんとリリィちゃんの家の茶の間が見えた。
 リリィちゃんはちょうど穴の真下にいたお父さんに向かって飛び降りた。
 「お父さん〜」
 どすん!。
 こうしてリリィちゃんはめでたく家に帰れたのだ。
 しかし、リリィちゃんは窓ガラスに開いた穴から入ってきたすきま風に吹き飛ばされて、どこかへ行ってしまったのだ・・・・。

 物語が終わったら私は本の中からにゅと出てきた。裏表紙には吹き飛ばされているリリィちゃんの姿が描いてあった。


※以上「かっちゃんの夢」聞き取りにより代筆。
※「種村有菜」はかっちゃんとまゆみちゃんのお気に入りのマンガ、「神風怪盗ジャンヌ」の作者。
※「リリィちゃん」はかっちゃんが小1の時から大切にしているカヤネズミのぬいぐるみの名前。以前、とうさんの服の袖に入って3日間ほど行方不明の時があった。
※それにしても、よくこんな複雑な夢を覚えているものだ。